T君

前回紹介させてもらったM君の留年エピソードの中でさりげなく一緒に留年していた学生会長、それが今回の主役T君。


T君の特徴はなんと言っても性欲の強さ。性欲の強さで彼の右に出る者はいない。
皆で遊んでいるときに突然「オナニーしたいから帰る」と平然と言ってのけるのだから只者ではない。「帰るわ」『なんで?』「オナニーしたいから 笑」の流れならまだ理解できる。いや、理解できないが。初っ端から「オナニーしたいから帰る」だから手がつけられない。


言い忘れていたが、私は"下ネタ"が嫌いだ。出来る限り下ネタ無しの方向でブログを書くように心掛けている。なので今回の記事を書くことに非常に抵抗を感じている。しかし時にはポリシーを曲げることも必要なのではないかと自問自答の末、今回の執筆に至った。
ただ、読んで頂いている方には私の決意など全く関係ないので無理に読んでほしいとは思っていない。下ネタは少し苦手だなという方にはコチラの記事をオススメしているので是非読んでいただきたい。


話をT君に戻す。
彼の家に初めて遊びに行ったときの話だ。部屋に入ってまず仰天したのは、そのAVの量。隠すことなく至る所に放置されている。部屋の外から軽く覗いただけでAVが散乱した状態が伺える。隣には年頃の妹の部屋があるというのに彼に気にする様子はない。
そんな彼の部屋でゲームをしていると「ちょっと風呂入ってくるわ」と言い残し、T君は一階へと消えてしまった。私は1人でゲームを続けていたが、待てど暮らせど戻ってこない。一階に呼びに行こうかとも考えたが、初めて来た家の一階をウロついて家族に出会うのも面倒だったので待機を選択。それにしても遅い。遅過ぎる。待つこと2時間半。ようやくT君が戻ってきた。悪びれた様子のないT君に「何してたんだ」とキレ気味に尋ねると、彼はこう答えた。

「オナニーしようと思ってチンコ握ったまま寝てた」

最初の2文字が"オナ"で始まるとは夢にも思わなかった。少なくとも2時間半待たせた相手に対する返事ではない。嘘でもいいから別の理由を考えてほしかった。そもそも友人が家に遊びに来てるときにオナニーする発想がまず私にはないし、チンコを握ったまま寝た経験もない。

もし私が待ちきれずに1階に行っていたら、チンコを握ったまま寝ているT君にエンカウントしていただろう。そうなっていたら私は自分の置かれている状況を理解できたのだろうか。頭をフル回転させる。何が起こったんだ!強盗か!?チンコを握っているということは、犯人に握らされたのか!?などと無駄な推理をする羽目になっていたかもしれない。そういう意味では不幸中の幸いである。

 


下ネタついでに彼とアダルトショップに行ったときのことも話しておこう。彼はとにかく性に対して貪欲なので、ここで金を惜しむような真似はしない。私なんかは中古で済ませてしまうタイプなのだが、彼は必ず最新作を爆買いする。いつも通り私が中古、彼が最新作を持ってレジに並んでいるとき、ふと彼が何を買おうとしているのかが気になった。
手元を覗いてみると《【電マ10分間耐えたら100万円】というタイトルのAV》《電マ》を買っていた。
どんだけ電マ好きなんだ。
普通なら少し照れてしまう組み合わせだが、彼に羞恥心というものは備わっていない。
極めつけには私がレジで支払いをしているとき「俺のポイントカードを使ってくれ」と言い出す始末。なんと助平な!
確かに俺はポイントカードを持っていない。しかしだからと言って、、、いや彼には愚問か。


まだまだエピソードはあるのだがガチで言えない内容なので自粛。彼の助平話はこの辺で終わりにする。


ここまで読んだ時点で皆さんお気づきだと思うが、T君は相当自由奔放な性格だ。悪い言い方をすれば自己中心的。どのくらい自己中心的か表現するなら"出会って4秒で「コイツB型だろうな」と感じる程度"だ。(血液型診断、断固否定派の方もいると思うが冗談と思ってどうか怒らずに読んでいただきたい)


彼の自己中を象徴する事件を一つ紹介する。
この事件の被害者Kさんは高校3年生のときに留年。私たちと同じクラスになったが自ら積極的に話し掛けるタイプではなかったので、中々クラスに馴染めずにいた。そんなとき立ち上がったのがT君だ。T君は部活動の関係もあり元々Kさんと仲が良かったので、Kさんが一人ぼっちにならないよう毎日一緒に昼ご飯を食べていた。彼にはこういう優しい一面がある。私にはとても真似できない。もっと真似できないのはここからだ。Kさんと昼ご飯を食べていたT君が突然、教室中に響き渡るような大声で「えっ!マジですか!Nと誕生日一緒じゃないですかっ!オイN、Kさんオマエと誕生日一緒らしいぞ!!一緒に飯食おうぜ!!」と叫んだのだ。あの時のKさんとNの苦悶に満ちた表情は未だに忘れられない。周りの人間は知らぬ存ぜぬの構えで2人にただただ同情。食事中の2人の悲痛な苦笑いが今も脳裏に焼き付いている。


T君の恐ろしさを分かっていただけただろうか。彼は思いついたことをそのまま口に出してしまうのだ。他人の気持ちなど御構い無し。超絶自己中。B型中のB型。恐らく彼の家系を遡ると頂天にはゴリラが君臨していることだろう。

 


「性欲の強さ」「超絶自己中」以外にも彼には特徴がある。屁の臭さだ。贔屓目に言って人類一臭い。


ある日、T君に「試したいことがある」と言われ話を聞いてみると、前日に《トリビアの泉》という番組で紹介されたトリビアを実践したいとのこと。
その内容は【欽ちゃん走りをしながらお尻を叩くと屁が分散し匂いが薄くなる】というものだった。
私はその話に乗った。T君でこの実験に成功すれば、即ちそれは全人類の成功となる。
手順はこうだ。
まずT君が屁をこき教室の後ろを欽ちゃん走りでケツを叩きながら横切る。そして、私が教室最後方の席に座り匂いを判定する。

準備は整った。T君が屁をこき走り出す。目の前を欽ちゃん走りのT君がケツを叩きながら横切る。もし失敗したら、、、逃げるなら今だ。だが迷っている時間はない。どうする。T君が私の目の前を通り過ぎる。必死に欽ちゃん走りをする彼の姿を見て私の覚悟は決まった。T君が完全に通り過ぎたのを確認し、私は勇気を振り絞り鼻から大きく息を吸い込んだ。

臭っせぇ!!!洒落にならん!!死ぬ!!
実験失敗!即刻中止!!

急いでT君に実験中止の合図を送るが、全く伝わらない。T君が欽ちゃん走りで戻ってきた。馬鹿野郎!戻ってくんな!T君の暴走により被害は思わぬ場所まで波及する。まず教室真ん中に座ってる奴らが騒ぎだす。「なんだこの匂いは!くせぇ!!」そうこうしているうちに今度は教室最前列の奴らが騒ぎだす。「クッセェ!!」「うわっ、なにコレ、クサっ!!!」教室は大混乱
私がT君の屁を甘くみたばかりに最悪の事態を招いてしまった。

 

 

そろそろ皆さんの中で、T君の人物像が輪郭を帯びてきただろうか。中には大まかな人相・体型まで想像できている人もいるかもしれない。
ここまで来て今更こんなことを言うのも何だが、実はT君はB型ではない。
学生時代をゴリゴリのB型として過ごした彼だったが、社会人になり会社で参加した献血でO型であることが発覚したのだ。つまり騙されていたのはむしろT君本人だと言える。
T君は自分がO型だと知り相当嬉しかったらしく、この事実を報告するために私たちを焼肉屋に呼びつけた。

 

T君「俺、B型じゃなかった。献血行ったらO型って言われた。」

 

私「嘘つけ。そんな訳ない。」

N君「お前がB型じゃなかったら、この世にB型は存在しない。」

Kさん「献血した奴が間違えたとしか考えられない。」

 

恐らくT君の中では「そうなんだ!」とか「マジで!?」みたいな普通の反応を期待していたのだろう。予想外の罵詈雑言を受け、T君はガチで凹み始めた。T君が凹むと相当面倒な事を知ってる私たちは、アイコンタクトで(マズい、そろそろフォローに回るぞ)という合図を送った。

 

私「O型ってことは俺と一緒かぁ。」

N君「いや、まぁでも確かにO型っぽいところもあるよね。」

Kさん「あぁ、確かに。言われてみれば。」

 

店員「ご注文お伺いします。」


T君「じゃあ、キムチ4つ。」

 

一同「(誰もキムチ食べたいなんて言ってねぇだろ!!クソB型じゃねぇかっ!!・・・ダメだ!我慢しろ!!ツッコんじゃダメだ!!)」


そんなこんなでT君から衝撃の告白を受けた私は、この日から血液型診断を一切信じなくなった。先ほどまでのB型に対する暴言の数々を深く反省し、心より謝罪申し上げます。