O君

今回の主役O君とは中学高校と同じ学校に通っていた。同じ学校ではあったが、友達か?と聞かれると、即答はできない。


彼はとても大人しい性格で、あまり人と話しているところを見たことがない。卒業アルバムで彼が所属していた水泳部の写真を見ると、その大人しそうな表情のせいか、彼だけ温泉に浸かっているように見えるから不思議だ。そんなO君に私は一度助けられたことがある。

 

学生時代私は出席番号が1番だった。そのためテスト時には毎回前方ドア付近の席に座らされ、カンニングにはかなり不向きなポジショニングを強いられていた。まぁこれだけならどうにでもなる。最大の問題は後ろの席。人類一カンニングを嫌うA君が目を光らせており、私のカンニング気配を察知すると、机をコンコン鳴らして御丁寧に先生にお知らせしてくれるのだ。なんて良い奴なんだろうか。そして左の席のK君は答案を絶妙に見えない位置に配置するタイプで、もはや万事休す。つまり私は高校をカンニングなしで卒業したスーパーエリートなのだ。

 

 

 

あるテストの日、何故か私の隣にK君ではなくO君が座っていたことがある。O君が隣に座っていたのはその日のある1科目だけ。理由は全く覚えていないが、間違いなく彼は私の隣に座っていた。私はカンニングへの淡い期待を胸にテストに臨んだ。

 

 

 

テスト開始
うむ。さっぱり分からねぇ。

 

 


おっ、O君スラスラ解いてる。
めちゃくちゃ早い。頼りになるぅうう!!!

 

 

 

 

 

 

 

その解答を私に見せなさい。(脳内に直接語りかける)

 

 

 

 

 

 

 


さぁ早く私に解答を見せるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!

 

 

 

 

 

奇跡!!伝わった!!!
めっちゃ解答見せてくれてる!!
(机の右端に解答用紙を寄せて爆睡)

ありがとうO君!!これなら天敵A君にも気づかれることなくカンニングできる。

 

 

テスト終了

 
完璧だ!カンニング大成功!
O君にお礼を言わなければ。

 

私「O君、見せてくれてありがとう。」
O君「ああ、全然良いよ。」

私(くぅ〜!!ニヒルだぜ!!)

 

 

 

 

 

 

 


〜1週間後〜


クソ間違ってんじゃねぇか!!!!!怒

(仲良く追試を受けました)

 

 

 

※今回使用した英語

cunning(和製英語、本来は「ずる賢い」の意。英語でカンニングはcheat)