恩師

 

男子には女子高生 盗撮等のワードで頻繁にweb検索をする時期が存在する。このweb検索は立派な成人になるための通過儀礼のようなものだ。 

 

私の中学生時代は今のようにスマホが普及しておらず、家にPCもなかったため篠崎愛 アイコラで検索をかけたくても気軽には出来なかった。そんな私に与えられたチャンスはPCを使用する授業のみ。この授業はパソコンルームで行われるため、席は早い者勝ち。授業開始のチャイムに間に合わず怒られることもしばしばあった私だが、この授業に遅れたことは一度もない。最後方に着席し授業開始と同時に検索を開始する。もちろん学校側もこういう生徒がいることは織込み済みで、エロサイトにはアクセスできないようになっているが、その規制はゆるゆるでSEX等の直接的なワードさえ避ければ簡単にエロサイトに到達できた。何故規制が緩かったのか。規制をキツくすることは即ち教師自身の首を絞めることになる。教師だって篠崎愛アイコラが見たいのだ。

中学生男子に規制ゆるゆるのPCを与えるのは、闘牛に赤い布をチラつかせるのと似たようなもので、当然私はエロサイトに突進した。後先なんて考えていない。しかし不幸なことに私が突進したエロサイトにはウイルスが仕掛けられており、PCは完全にフリーズ。PCと同じタイミングで私もフリーズ。滝のように汗が流れ出る。何をやってもPCは反応しない。絶望的な状況。

 

「これはだめかも分からんね」

 

偶然にも御巣鷹山に墜落した日航機の機長と同じ台詞が口を衝いた。

 

 

 

それから3年の月日が流れた。

 

幸か不幸か、高校に入ってもパソコンを使った授業があった。ある日の授業中、『女子高生 盗撮』と検索して辿り着いたサイトで同じ高校の女子生徒が盗撮されている画像を発見。投稿者の名は《ヒロポン》。写真の構図からして車内からの撮影で間違いない。うちの高校の近所にも中々の変態がいるものだなぁと感心していたが、その4年後に犯人が捕まる。うちの高校の教師だった。しかし捕まった理由は投稿していた写真の件ではなく別の盗撮で、報道によると《便器付近のケース内に隠された家庭用ビデオカメラを女性職員が発見。映像を調べると、カメラを設置する容疑者の姿が映っていた》らしい。なんたる間抜けっぷり。

 


この教師は修学旅行のバスで生徒たちに対し「オマエら新聞に載るようなことだけは絶対にするなよ」と伝説の台詞を残し、一週間後新聞に載った。完